土曜の朝ごはんの憂鬱

今朝7時に電話音。義父より、明日の朝食の打ち合わせ。大抵、この打ち合わせ電話は金曜の夕方にあるのだが。よりによってなぜこんな時間に。山の別荘で週末を過ごす義父、義母は、土曜の朝ベイルートを離れる前に1時間ほど立ち寄り、可愛い息子(夫)とのクオリテイタイムを持つ。7人兄弟の二人目で、いちばんの出世頭で、誰からも頼られている息子は、まぶしい、可愛いというのはよく分かる。毎晩数分は電話で声を聞くのだから、それで十分だとこちらは思うのだが、老いていく親の楽しみなのだろう。

レバノンのよくある朝食はマヌーシか、できたての豆か、甘いクネーフィーか、ごまをふんだんに使ったカアク、それにクロワッサンと、5通りある。土曜の朝食に特に何が食べたいというのでもないが、金曜の晩から決めるのも煩わしい。大抵「何でもいい」、「是非来てね」と気のない返事をするだけだ。

以前は息子がほぼ毎週金曜はお爺ちゃん、お婆ちゃん宅に泊まっていたので、パジャマ姿の息子と新鮮な朝食がセットになって運ばれてきて、有難かったのだが、12歳の息子のお泊りは最近はめっきり減り、儀礼化したこの毎週の朝食、正直重い。

私の役は、お皿を並べて、ジュースでも入れて、もくもく食べて、あとで皿を洗うだけ。聞き役になるわけでもない。パジャマのままでいるときもあるが、最低限の眉をかき、ブラをつける。

義夫の電話後、夫が日曜日は友達家族とどこかでかけようと、めずらしく提案。孝行息子も日曜の家族の食事はスキップしたいのだな。即答で賛成した。

 

暇つぶし

息子の春休みも佳境に入った。のんびりと過ごした4連休のあと、私が出勤する8時にはとりあえず起きてもらう。伸び盛り、眠り盛りとはいえ、寝坊は好きじゃない。フランス語、数学、アラビア語のドリルを適当に与えて、11時まではテレビ、パソコン、IPADの遊びは禁止。午後は誰かしら友達と遊びに出かける。

あてにしていた友達に用事ができて、半日を家で一人で過ごして、退屈しきった息子。おなかもすいているからイライラしながら、仕事場に電話してきた。パスタでも自分でゆでたら?新鮮な食材の色、におい、味にふれて、手先を動かすのは、ひとつの心理療法だ。OK,じゃ試してみると即答。

もともと息子は昔から小さな子供と遊ぶのが好きだし、上手だ。昨日は昼間に2時間ほど、4歳、6歳児のやんちゃな兄弟のベビーシッターをさせた。走り回り、おもちゃを投げられて、思ったより疲れたようだ。帰り道、ここ数年家族じゅうでお世話になっているメガネ屋によって、夏休みに仕事したい旨を伝えてきたという。

遊んでばかりも退屈なのだ。お手伝いさんおばちゃんもいるし、こと最近は宿題や試験勉強に追われて、たいした家事手伝いを普段からさせてない。やっぱり、これはよくない。2ヶ月後には、2ヶ月半の夏休みも始まる。できる範囲が広がって、好奇心や自信につながっていく手伝いや仕事を、もっともっといっしょに探してやらないといけないと思った。

 

10K, 5K

ベイルートマラソンは毎年11月にある。世界からプロのランナーも走るが、大半は市民マラソンで、10Kは学校のクラブや職場チームがそれぞれスローガンを書いた旗をもったり、ぬいぐるみを着たりしながら、練り歩く。わがオフィスも毎年ではないが、平和のメッセージを書いたTシャツを作り、有志が参加した。2年前はオフィスチーム6名でリレーマラソンを走った。もともと適当に体を動かすのは好きなほうだし、数年前から、週に2,3日は歩いている。がジョギングは試したことがなかった。ただ、この短いながら、第一リレー者だから、ちゃんと走りたくて、2ヶ月くらい前から、少し練習を始めた。

どしゃぶりのマラソンも無事に終え、その後も1年近くは、病みつきとは言わないが、かなりその爽快感に魅せられ、週に2,3度は走るようになった。暑い日ざしか、雨か、風邪か、単に飽きたのか、何が要因だったか、ここしばらく、すっかり走るのが億劫になってきた。

先月、オフィス仲間に5月初めの10K競走に誘われた。10K、正直自信がないが、一日で2キロは痩せられるという文句に、体重のリバウンドも含めて、まずいと認識していた私は、即答OKした。その後風邪もひいて、レースを11日後に控えた今日まで、まったく走っていない。レースは走りきれば目標達成だが、どうやって準備したらいいのか、インターネット検索する。

要すれば、少なくとも1回は10Kを走ってみる。レース前日は走らず、筋肉を休めておく。1日置きに、少しづつ距離を伸ばしながら走るといいようだ。

2ヶ月前に決まった妹の結婚式。それまでには痩せようと思ったものの、まだ体重計にすら乗っていない。まだ30日ある。レースを利用して、3キロは落としていけるといいのだが。義理の弟の婚約パーテイは90日先。

久しぶりに走るまえに、久しぶりに体重計にのった。思ったほど増えていたかったし、まったく楽に3キロは走れる。目標は現実的に、10K,5Kでいこう。

 

f:id:jimmythecat:20140423142719j:plain

 

静かなイースター休暇

イースター休暇は計11日。暑かったり、寒かったり、全般的に春の爽快な陽気がすがすがしい。海外旅行にでかけた友人も多かったが、ここ3か月の夫の膨大な仕事の量、息子の情緒不安定、さらに直前に母子で風邪をひいたこともあり、基本的に交通量が減ったベイルートの珍しい静寂を大いに享受しながらのプランなしの休暇が始まっ(てしまっ)た。

昔ベイルートに暮らしていた友人が、3年ぶりに遊びに来た。夫の仕事の転勤で、今はナイロビにいる彼女と、ゼイトウナベイのカフェから、海沿いを歩き、ハムラへの坂道を上った。治安がわるいから、ナイロビじゃなかなか歩けないからと、昼下がりの散歩はかなり楽しかったようだ。子供はほぼ同い年で、お互いにテイーンの親の苦労を聞きあった。

日頃友達付き合いが必ずしも上手とはいえない息子も、幸い毎日誘いの声がどこからかかかってきて、半日は外に遊びに行った。今年になってから、第二次性徴期、対人ストレスと勉強のプレッシャーで、疲れて気味だった息子にとって、一番の休暇になった。最近の遊びは、モールまで送っていき、友人だけで映画を見ること。10人ぐらいのグループでペイントボール。どこかでエネルギーを発散させないと。食べてスクリーンを見ているだけじゃ、不燃焼だ。で、親の私たちはカフェで本でも読みながら、待つ羽目になる。

ベイルートスークは、外と中を上手に使った審美的にも機能的にも優れたモールだ。その日、催しもの広場には、無農薬野菜、はちみつや手作りのお菓子などが売られて、半分バザー気分だ。いろんな種類の素朴なお菓子、ナツメヤシがあったり、オレンジがはいったり。ただ毎度眺めるが、どれもいまいち美味しそうに見えない。実際に試食を促されて、口にいれると、香料か、喉に詰まる感じか、あるいは両者のせいか、やっぱり口に合わない。でも愛想よく売ってくれる農協のおばちゃんに申し訳ないので、1箱買ってしまった。朝食にカフェラテと食べるといいかも。

 ベイルートの喧騒、車の渋滞、騒音。これらがないだけで、本当にストレス度が下がる。大して何もしない休暇、これは正解だった。

 

f:id:jimmythecat:20140421180458j:plain

 

f:id:jimmythecat:20140421170650j:plain

 

 

 

 

徒歩5分のフランス

結婚当初を過ごしたナントでは、毎土曜の朝、パン屋で焼き立てのクロワッサンを、新聞や週刊誌を買い、ゆっくりと朝食をとっていた。我々が気に入っていたカフェは2軒とも老舗で、その昔はビジネスマンでにぎわったのだろうカフェ・ド・コメルスか、オペラ座に立ち寄るブルジョワな客でにぎわったのろうブラスリー・シガルだ。前者は天井、壁、テーブルのすべてが濃く深い木材で、朝も昼もどんよりと薄暗い。初めて入ったのは、冬の雨の夜。ビールをまずは一杯ひっかける客であふれていて、北国の風景だと思ったのを覚えている。残念ながら、この老舗はその後閉店し、ナイキの店に代わっている。シガルの壁は美しいデコールと鏡にうつるシャンデリアの光で、朝も夜も輝いている。教育されたウエイターのサービスもよく、同じコーヒー一杯もかなり優雅な気持ちで頂ける。

レバノンに来てから、週末の朝食にカフェに出かける機会はおおいに減った。郷に入っては、郷にしたがえ。オーブン焼き立てのマヌーシー(薄型ピッザ)や豆料理(フール)等、おいしい朝食メニューは行く通りかあるが、これらを買いに行くか、デリバリー注文で、それを家で食べるのが朝食の王道だ。

おなじフランスの保護領下だったチュニジアにはおいしいバゲットがどこでも手に入るのに対し、レバノンの食文化はパンも含めて、フランスの影響は受けていないようだ。今でも本当においしいフランスのパンが入手できるのは、限られているように思う。だから、数年前キリスト教地区のジャッマイゼにオープンした、フランスのパン屋カフェのチェーン店のポールはおお流行りだ。

もともとフランス語圏ではなかった西ベイルートにも、こうした徒歩5分でフランスを味わえる店が増えた。ハムラ通りの本屋のアントワーン、フランス系のアパレル、おしゃれなビストロやレストラン、それから「モノップ」。フランスの全国スーパー「モノプリ」の食品だけを扱る小規模店だが、フランスのモノップ同様、20種類はくだらないチーズも日替わりサービスが多く、気が利いている。ほかのメーカーより少し低く価格設定されたモノプリブランドの食品・嗜好品のなかでも、「ブリオッシュ」のローフ800グラムは我々のお気に入りだ。パリに旅行しても、ふわふわ感をつぶさずに、手荷物で持って帰るのは正直面倒だった。荷物やパスポートコントロールの鬱陶しさなく、フランスが、こうも手軽に味わえるのはうれしい。

2か月前ほどにオープンしたポールのブリス通り店。ベイルートの地元のパン屋にはたいていおかれていないクロワッサン・デ・アマンドと、カフェラテを頼んだ。ナントの名もないパン屋の創造力や味の追求といった職人芸は感じないが、いつどこで食べても、それなりに美味しい。かなりの高カロリーだが、イースターにふさわしいハレな朝食でした。

 

f:id:jimmythecat:20140420172640j:plain

愛猫ジミー

息子が11歳の誕生日に犬を欲しがった。自分も同じ年頃、新聞の「もらい犬」3行広告欄でジョニーを探してきた。大学で上京するまでの数年間はそれでもほぼ毎日夕方散歩に連れてった。気立てはいいが、散歩中にメス犬をおっかけたり、猫に威嚇されたり、友人と立ち話する私の足におしっこする頭の悪い雑種の中型犬だった。反抗期時分には、そんなジョニーに私もずいぶん愚痴を聞いてもらったのだが、大学卒業後は日本には休暇でしか帰らなくなり、母がジョニーの最後を看取った(享年15歳)。

息子には昔の私のような強引さと行動力はない。庭のないアパルトマンじゃ無理だし、何せパパが犬嫌いだからねえ、猫にしてみようと提案したら、すんなり賛成。ペットショップでペルシャ猫の赤ちゃんを欲しがったが、猫に500ドルは私の金銭感覚には受け入れがたい。まずは赤ちゃん猫の育て方をインターネットで読むことにした。

私たちが住んでいたアメリカン大学のキャンパスにはどのくらいの猫が住んでいるのだろう。ネズミ退治も兼ねているが、猫の維持費(エサと避妊治療)が毎年計上されているともいう。2か月ほどまてば、猫の出産月らしいけど、赤ちゃん猫は8週間は母親猫と暮らしたほうがいいらしい。一人っ子の息子の情緒安定用のペットだから、できればすぐがいいのだが、4か月先はすこし遠いし。

不思議のことに、その日、とある猫がビルの入り口で、私たちの後に話しかけ、エレベーターにのり、私たちの家まで付いてきた。次の日、仕事からもどると、同じ猫がビルの入り口に寝そべっている。私をみると、みゃーと話しかけてきて、エレベーターに先導し、いっしょに降り、うちの前に座る。野良猫にしては美人でこぎれいなこの猫に、「悪いけどね、息子はあかちゃん猫が欲しいの」とドアを閉めた。3日目、またあの猫いるかなと、私は家路を急いだ。ビルの入り口にはいなかったが、果たして6階の私たちの家の前に座って待っていた。「ちょっと、待っててね。」息子も、この不思議な猫をペットにすることに、即賛成した。

「アハランワサハラン」と戸をあけると、おそるおそる内に入る。借りてきた猫とはこのことだ。息をしていなければ、ぬいぐるみのように、おとなしい。ジミーという名前は息子がつけた。オスでもメスでもペットの名前はジミーと決めていたらしい。

雌猫くらい、おもいっきり古臭い日本の名前でもつけたかったが、これは一人っ子対策、私がでしゃばる場ではない。

息子はジミーのすきなペットフードのにおいが苦手で、エサを与える役を2日目で降りた。そして、その日から、ジミーは私をママと慕っている。中年の雌同志、ゆっくりと瞬きして、毎日愛情を確認するのだ。

f:id:jimmythecat:20140418195016j:plain

 

 

 

夏を迎える基礎化粧

風邪薬のお金を払ったところで、「お肌のシミそばかすに聞くフランスの基礎化粧品安くしますよ」と薬屋の若旦那。朝8時過ぎ、早々から営業頑張るね。風邪っぽい、風邪、回復中のここ1週間あまり、スポーツもしていないし、なんか顔がくすんでいるし、むくんでいるような。眼鏡の淵にうまくかくれるけれど、おおきくなったそばかす群、まずいなーと思っていた矢先。「渡りに舟」とはこのことで、早速ナイト、デイクリーム、さらに美白洗顔ジェルのセット100ドルを購入即決。問題は毎朝晩ケアすることだ。http://www.uriage.com/FR/fr/produits/depiderm

2年前、母校で講演会に講師の一人として招いてもらったが、最近になって、その講演に来てくれていたおかまブロガーの記事をたまたま目にした。私の化粧が自然でプロ技モノだと褒めてくれていたのだ。同性よりおそらく厳しいおかまの視線で、この20年来、化粧水プラス口紅一本のミニマルケアが認められたのには、正直大いに自尊心がくすぐられた。

「40代に一気に出るよ」と年上の友人から再度の警告通り、とくに最近そばかすがシミ化してきた。自分も家族も慣れているしまっているからこそ、初対面の人(薬局の店員)のコメントには敏感に。気休めのような気もするが、備え今年も長い夏をむかえよう。

 

f:id:jimmythecat:20140418195327j:plain