クネーフィー

毎日曜、お義母さんの手料理が食卓に隙間なくならぶ昼食会がある。結婚している3人の息子夫婦とその子供、バツ2の娘とその娘、結婚していない息子の16人が大抵集まる。仕事や試験勉強が口実でも、欠席すると、お義父さんの機嫌が悪い。7-10種類もの料理の下ごしらえは、木曜あたりから始まる。私を含めた3人の嫁も、バツ2で同居している娘もフルタイムで仕事をしているせいもあって、毎度てぶらで参加し、残りものをタッパーにいれて持ち帰る。

今週末は普段はサウジアラビアに住んでいる長男が出張で来ていたが、彼の意向で、10時の朝食会に変更になり、各自がマヌーシー(ピザ風のパン)、フール(豆)とクネーフィーを持ち寄った。どれも炭水化物の固まりで、一日胃にもたれるが、普段の昼食のルーテイーンから開放されるのは悪くない。今後も、少なくとも月に1度は、朝食会にしたらいいのに。お義母さんの負担も減るだろうし。

クネーフィーは「晴れ」の朝食メニューだ。昇進、合格、息子の結婚、初潮を迎えた時等に、クネーフィーを食べるのだ。今回に朝食では、クネーフィーは主役ではなかったが、前の晩の末男の婚約のお祝いの意味もあるのだろう。チーズとお菓子だけでも立派な栄養だが、さらに甘いシロップをかけてゴマをまぶしたパンに挟んで頂くのが正統な食べ方。この一回りも、二周りもカロリーが倍増するステップに、最小は罪悪感と抵抗があった。しかしここで過ごした10年の月日は大きい。全工程を経たクネーフィーがやはりおいしいのだ。

私から15歳年下の末男はかわいい弟だ。この10年、買い物、壁の掛け物の釘うち、出張帰りの際空港への出迎え、最近では留守中の猫の遊び相手役と、マルチタレントなお手伝いをいつも快諾してくれた。愚息がまだ可愛かった時代はいっしょに近所を散歩して、美人のクラスメートの気を引いたこともあったとか。婚約おめでとう!

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ユーネスのコーヒー店

小学生のときに、ほのかに甘い白折茶をおいしいと思ったが、中学生以降はすっかりコーヒー党になった。スタバやカリブ、グロリアジーンズ等のチェーン店はベイルートの至るところにあるが、地元の「ユーネスコーヒー店」の忠実な客だ。ウエブサイトで、2008年に開店とあるから、この時期に私もファンになったようだ。http://www.cafeyounes.com/?q=home

前身はブラジル移民のユーネス家の一人のコーヒー豆業者だが、コーヒーショップの一号店はハムラの一角にある。昔はそこで一服して、本を読んだり、仕事をするのも好きだったが、最近はひきたての豆を買うのみだ。40種類くらいのブレンドがあるが、その月のお試しブレンド(25%引き)で、いろいろ味わっていくのは、お得感に相乗して、さらに楽しい。

7時40分。今朝もフレンチプレスに熱湯をいれ、電子レンジで無脂肪牛乳をあたため、オフィス持参用のカフェラテを入れた。レバノンに来てから10年来、お手伝いのおばちゃんにすっかりまかせているが、バランスのいい朝食つくりと、コーヒーをいれることは、私が大切にしているほぼ唯一の家事 だ。

今月は”甘めの朝食ブレンド”。前回の”Massiveブレンド”、普段の”Speciality ブレンド”と比べて、どこが甘いのか、よく分からないが、いける。保温マグに入ったコーヒーは10時ごろまで温かく飲める。

私にとって、この保温マグは、携帯電話と同じくらい大切だ。このマグや携帯電話を家に置き忘れると、終日ボタンぼたんを掛け違えた感覚になる。

心労の多かった今週、花金とはいえ、月曜の朝のように、疲れている。ちびちびと飲むたびに、頭のエンジンがゆっくり動き始める。ありがとう、コーヒー。

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火曜日に学校の先生から連絡があった。息子さん、相変わらず集中力がありません。学年のはじめとはまったくの別人です。心配事があるようだけれど、誰にも話せないでいるようです。このサイン、深刻に受け止めて手を打ってください。

9月の新学期、新しい中学のシステムに、おお張り切りだった。10月には学級委員に立候補し、フランスの大統領選挙の演説を真似たスピーチが功を奏し、校長にクラスの意見を伝える役におお張り切りだった。11月に各教科8人の先生と面談したときに、すばらしい才能をもった子供だと、ある種の「真珠」だとも言われた。ただ予習復習は毎日する癖をつけさせるよう言われた。その間もまもなく、12月に先生から呼び出され、宿題や提出物を忘れ、授業にもやる気がないと注意をうけた。

日本の冬休みから戻り、学校が始まる前日、1学期の成績表を渡してきた。中の下、下の上、数学が苦手がわからないというので、毎日特訓をして、家庭教師もつけた。集中できない、覚えられないというので、模造紙に暗記事項を書いては、私たちを生徒にみたたて、説明させた。1月に学級委員を辞めると言い出し、本人がやめてしまうまでの1週間は、顔がこわばっていた。先生も心配していた。9月のアダムとは別人だと。

1月に学級委員をやめてから、顔が明るくなって安心していたのだが。背は私を超え、声変わりもはじまり、目が反抗期だ。反抗期、第二次性長期、勉強、友達との関係、すべてがストレスになっているのが分かる。まずは、3学期なんとか無事におわらせてやりたい。

 

スポーツ靴

ほぼ毎日履くとはいえ、息子の靴のいたみは早く、甚だしい。年末に日本に帰省する前に買ってやったのも、3ヶ月で、穴があき、底がはがれ、さらにきついという。そろそろ買わないとねと言って、早2週間。朝から口を尖らせて、この靴の限界を説く息子に、じゃ午後靴屋にいこうと約束した。

午後4時半。仕事から戻ると、宿題を半分済ませて、息子は待ち構えている。歩いて数分のスポーツ用品店に行く。以前はここの店には偽ブランドしかおいてないと文句を言って、来るのを嫌がっていた。本ものだろうが偽ものだろうが、どうせ3ヶ月しかもたないのだと本人もわかり始めたのか。それとも、けちな母親の説得は難しいからか。なにぶん今日中に新しい靴がどうしても欲しいからか。クレームをつけずに、店に入る。さらに、ちょっと大きめのを買う案にも、素直に従ってくれた。

ものの数分で、普段の登校靴とスポーツ用の靴の2足を選んだ。スポーツなんて対してしないのに、何でいるの?とからかったが、2足ともOKした。普段不機嫌なことの多い12歳も、とりあえず「ありがとう、ママ!」とご機嫌麗しい。27センチとサイズだけ大人だが、まだまだ可愛い年齢か。

 

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引越し吉日

週末、同じ通りのすぐ隣のアパルトマンに引っ越した。快晴、気温20度と引越し日和。土曜9時半、予約時間ちょうどに、業者トラックが到着。

前回の引越しから丸一年。3日分の下着やタオルをスーツケースに入れたり、引越しのお兄さん用のペットボトルの水やサンドイッチの手配等、昨年の教訓は活かした。去年の引越しでは愛猫ジミーが引越し業者を怖がって逃げだしたので、今年は彼らがやってくる前に、無事、無理やり移動用かごに押し込めました。

午後3時引越し屋がいなくなり、静かになり、ジミーも半日隠れていたトイレの隅から、やっと出てきた。どの家具にも彼女のにおいがあるはずだが、おそるおそる新しい住処を偵察。でも苦手なのね、変化が。

夜になり、疲れた果てたおばちゃんが寝ていると、ジミーがやってきた。普段ひざにのってくることもない彼女。引越しはよほどのストレスなんだね。ものの1分だろうか。長い爪を毛布にひっかけながら、おばちゃんの体上を散歩。毛布をつうじて感じる4キロ半の体重は、マッサージにちょうどいい。最後にジミーちゃんの吐息を頬に感じて、おばちゃんは眠りに落ちました。なんというBlessingだこと、また来てね。

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